織物・民族アート用語集
主に当店にて取り扱いの品々に関連する用語や地域などの説明とはなりますが、商品をご覧の際に参考にして頂けたら幸いです。
尚、各国語の発音に関しては、現地の発音に則したものを記載した後に、日本で普及しているものを併記した形としております。
注:文章や画像の無断転用・転載(引用)はお止め下さい。
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用語集INDEX
藍(インディゴ/indigo)
藍色を生み出す植物の総称で、紀元前の昔から世界各地で天然染料として用いられてきた。
インド藍(木藍)・タデアイ・ウォード(大青)・琉球藍などがある。
藍染め(indigo dye)
上記の天然藍による染め。
藍液に糸や布を漬けた後、空気に晒すと最初は濁った緑色であった糸や布が徐々に鮮やかな藍色へと変化していく。
アイアンウッド(鉄木/ironwood)
その名が示すように、幹が鉄のように堅く密度が高い樹木の総称。頑丈で耐水性に優れている。セイロンテツボク・ウリンなどがある。現在の主な産地はマレーシアやインドネシアなど。
アカ族(Akha)
チベット高地を起源とする山岳民族。
中国雲南省・ミャンマー(ビルマ)を経て、タイ(6万人)やラオス(6万人)に移住してきた。
現在もミャンマー(ビルマ)からタイへの移住は続いており、その多くはタイ北部に定住し270余りの村々が点在する。中国ではハニ族と呼ばれる。
茜染め
天然染料による茜染めとしては、ヤエヤマアオキ・蘇芳・ラック虫・茜草などが用いられてきた。
茜染めの着衣は、王族・貴族・呪術師などごく限られた人のみに且つては着用が許され、禁色とされていた地域も存在する。
麻(hemp)
麻繊維を採る植物の総称。ラミー(苧麻)・リネン(亜麻)・ジュート・マニア麻・サイザル麻・大麻などがある。独特の清涼感があり頑丈。
アチェ (Aceh)
インドネシア最西部に位置する州で、インドネシアの中でもイスラム信仰が強い地域。インドネシアからの独立を要求して長くに亘り内戦状態であった。
アチェでは且つて優れた織物がつくられ、染織品を扱うインドネシア人の間でも垂涎の品となった。
アバカ (abaca)
マニラ麻(バショウ科)。植物繊維の中では最も強靭なもの一つ。
フィリピンではアバカを使用して織物がつくられており、沖縄の芭蕉布に似た光沢と張りがある。
主な産地はミンダナオ島。
アニミズム (animism)
万物に精霊・神・霊魂が宿っているという考えおよび信仰(精霊信仰・自然崇拝)。原始宗教。
イカット(ikat)
インドネシアでつくられる絣布の総称。
インドネシア語では「結ぶ(括る)・縛る」ことをmengikatと言い、その中のikatが絣布の共通語としてインドネシア、そして世界に広まったと言われる。
元々、インドネシアには絣布を表す共通語はなく、それぞれの地域ごとの絣布に呼称がある。
イカットという言葉は比較的新しい時代に広まった言葉で、一説には、絣布づくりを眺めていた海外からの訪問者が、その布づくりの括りの工程の説明を受けた際に、括る・縛る(mengikat)という動詞を布の名詞と勘違いをしたことから呼ばれ始め、広まった言葉と伝えられる。
そのため、絣布の産地でも地方ではイカットという言葉が通じない事も多々ある。
いざり機
腰機を参照下さい。
インドネシア (Indonesia)
1万7000以上の島々からなる東南アジアの共和制国家。
大部分がマレー系民族でムスリムであるが、多民族国家かつヒンドゥー教、キリスト教の他、シャーマニズム(アニミズム)の残る地域もあるため、イスラム教を国教とは定めていない。
「ビネカ・トゥンガル・イカ/Bhinneka Tunggal Ika(多様性の中の統一)」というスローガンが多民族・多宗教・多文化のインドネシアを現している。
浮織り
緯糸または経糸によって文様を浮かせて織り上げる技法。
ウコン (turmeric)
カレーのスパイスとして知られるが、黄色を生み出す染料としても使用される。
ウロス (ulos)
インドネシア・スマトラ島のトバ湖周辺に暮らすバタック族の伝統織物で、冠婚葬祭の際の正装として纏われる。
ウンドゥッ/エンデッ(ク)(endek/endeg)
バリ島でつくられる緯絣で、腰巻などに使用されることが多い。
筬 (おさ)
織機の用具の一つ。枠に竹や金属を櫛の歯のように並べたもので、縦糸を整えて横糸を打ち込むのに使う。
カイン(kain)
インドネシアでの布の総称。
絣
染め分けた糸で文様を織り出す平織りの先染め織物。
経絣・緯絣・経緯絣がある。
絣は7~8世紀頃インドで生まれたと伝えられ、アジャンタ石窟寺院にも絣を纏った人物が見られる。
カチン族 (Kachin)
ミャンマー(ビルマ)に暮らす少数民族。中国雲南省にも居住しておりジンポー族と呼ばれる。
カマン (Kaman)
バリ島の女性が正装時に着用する腰巻の呼称。クバヤやスレンダンと共に着用する。=サルーン(サロン)。
カリマンタン (Kalimantan)
世界で3位の面積を持つ東南アジアの島で、カリマンタンはインドネシアでの呼称。
英語ではボルネオと呼称される。
インドネシア・マレーシア・ブルネイの領土に分かれており、豊かな熱帯雨林と天然資源の宝庫である。
カレン族 (Karen)
ミャンマー東部からタイ北西部にかけて暮らす山岳民族。
ミャンマー(ビルマ)に350万人、タイに40万人が暮らしているとされる。
起源は定かではなく、ミャンマー(ビルマ)より西方から来たと言われている。
象を調教できる民族として知られており、また、優れたシルバーアクセサリーの作り手でもある。
カンボジア (Cambodia)
インドシナ半島に位置する国。
アンコールワットやアンコールトムなどの遺跡に代表されるクメール文化が花開いた。
元来はタイの絣布マットミーなどを始め周辺国の染織文化に多大な影響を与える程であったと伝えられるが、ポル・ポト政権によって多くの知識人・文化人・宗教家が虐殺され、長く混乱と内戦の時代が続いた。
そのため、染織などの伝統文化も長らく潰えていたが、昨今復興の途にある。
吉祥文
縁起が良いとされる文様で、動物や植物などを図柄に表わしたもの。
国によって吉祥とされるものが他の国では不吉とされたり、逆に不吉とされるものが他の国では吉祥とされる事もある。
キット(khit)
タイでの浮織りの呼称。
絹(シルク/silk)
蚕の繭から採った光沢のある動物繊維。
軽く、適度に伸縮性と保温性・吸湿性がある。
紫外線を吸収する。
伝説では紀元前6000年頃の中国で生産が始まったと伝えられる。
首架文 (skull tree/andung)
20世紀初頭までスンバ島で行われていた部落間での戦いの際の首狩りの風習を表わしたもの。
戦いでの勝利を祈願するため、または祝うために古くからあった伝統文様の一つで、且つては支配階級の人々の腰巻に織り込まれてきた。
今でも、且つて狩ってきた首を飾っていた木(skull tree)の残る伝統村がある。
グリンシン (gringsing/geringsing)
バリ古来からの宗教・生活観・風習に則って生活をしているバリ・アガの村トゥガナンでつくられる世界的にも稀な経緯絣(ダブルイカット)。
gring(病気) sing(無し)という意味合いを持ち、無病息災を願い魔除けとして持ち主を守ってくれる聖なる織物と捉えられている。
コ(ko)
タイルー族の綴織りの呼称。
腰機 (backstrap loom/loin loom)
地機(じばた)・いざり機とも呼ばれる機織り機。
英語でbackstrap loomと呼ばれるように、経糸を張るための腰当てや腰帯などを備えた織機で、数本の棒を用いただけの簡単で原始的な構造だが、経絣を織るのに適している。
インドネシアのヌサトゥンガラでは現在も主流となっている。
構造的に広幅の織物をつくるのは困難で、腕を少々広げた織り幅(約70cm)が最大の織り幅となる。
子安貝
宝貝。
古くには貨幣として使用されていた地域もあり、装身具やお守り、そして呪術的な儀式の際にも使用された。
サムヌーア(Samneua)
ラオス北東部フアパン県の県都。
古くから織物の名産地として知られており、優雅な織物が生み出されている。
パテートラオの拠点であったため、ベトナム戦争時にはアメリカ軍の激しい爆撃を受けた。
更紗
インド起源の染織品で、あらかじめつくられた綿や絹の平織り布に蝋や糊で線描き(防染)をして模様を描く、木版や金属版によって模様をプリントするなど、様々な手法で模様を表した染め物。
産地によってインド更紗・ジャワ更紗・和更紗・ペルシャ更紗などと呼ばれる。
サルーン/サロン(salong/sarung)
インドネシアにおける腰巻(腰衣)の呼称。
一枚の布を巻きつける着方の他、筒型に縫い合わせて着用する方法もあり、地域によって巻き方は様々。
ヌサトゥンガラでは筒型が主流で、スカートとしてのみでなく、寒い日には上半身からすっぽりと被ったり、ブランケットとしてなど便利布的な使用がされている。
サヴ島/サブ島(Savu/Sabu/Sawu)
インドネシアのスンバ島とティモール島のほぼ中間に浮かぶ島。
母系制社会を営み、各家系は長女によって継承される。
優雅な花文などの広がるイカットがつくられており「イカットの島」と呼ばれている。
山岳民族(hilltribe)
山岳部に暮らす少数民族。
タイではアカ族・カレン族・モン族・リス族・ラフ族・ヤオ族など12民族が山岳民族とされる。
絞り染め (tie dye)
布の一部分を絞ったり(巻き締め絞り)、縫ったり(縫い締め絞り)した後に染めを施すことで、円形や波状などの模様を生み出した染織品。
シングルイカット
経絣や緯絣のように、どちらか一方の糸のみを括って染色し絣模様を織り出した絣布。
スマトラ島 (Sumatra)
インドネシア最西部の島で、世界第5位の大きさを持つ。
多民族国家インドネシアの中でも多くの民族が暮らす島で、各民族の風習・文化の独自性が強い。
スラウェシ島(Sulawesi)
インドネシア中部の島で、世界第11位の大きさを持つ。
山がちな地形なため、独自の文化が保たれてきた地域もある。
且つてはセレベス島と呼ばれた。
スリムット(selimut)
インドネシアでの腰衣・ブランケットの総称。
スレンダン(selendang)
インドネシアで民族衣装を纏う際に着用される帯状の布の呼称。帯としての他、肩掛け、ムスリムの女性達の頭被りなどとして使用される。
スンバ島(Sumba)
インドネシアの小スンダ列島にある島で、東ヌサトゥンガラ州に属する。
島民の殆どがキリスト教徒であるが、アニミズムによるマラプ信仰も残っている。
且つては白檀の産地で豊かな緑の広がる島でサンダルウッド島とも呼ばれていたが、乱伐や放牧により現在ではサバンナのような荒涼とした光景が広がる島となった。
イカットの名産地であり、巨石墳墓など独特の伝統文化が色濃く残されている。
精霊信仰(animism)
森羅万象全てに霊魂が宿っているとする考え・思考。
生命の木(tree of life)
生命や世界の中心を象徴するものとして、世界各地の神話に広く登場する。
絵画のみならず、織物のモチーフとしても様々な国で見受けられる。
綜絖
緯糸を通すために経糸を上下に開口させる織機の装置。
ソンケット(songket)
緯糸紋織物のインドネシアやマレーシアでの呼称。
タイ(Thailand)
東南アジアの立憲君主制国家。
タイ族(Tai)
アルタイ山脈周辺を源流とすると伝わる民族で、長い時を経てタイ、ラオス、ベトナム、ミャンマー、果てはインドまで広く移住をした。
多くの支族に分かれており、ルー、プアン、ユアン、デーン、ダム、ヤイ、ラーオ、シャムなどなど様々な支族がある。
ダブルイカット
経糸と緯糸の両方を括って染色し絣模様を織り出した絣布(経緯絣)。
このダブルイカットの技法でつくられる織物は、バリ島トゥガナンのグリンシンの他、インド・グジャラートのパトラ、日本の織物の一部と、世界のごく限られた物のみで、非常に緻密な作業のともなう織物。
ダヤク族(Dayak)
ボルネオ島に暮らすプロト・マレー系の原住民族。
独特な風習を近年まで長く保ちながら暮らしていたため、特徴ある部族美術が生み出されてきた。
高機
腰機よりも高度に発達した構造を持つ織り機で、現代の手織物の多くは、この高機でつくられている。
昼夜織り
織物の文様が、布の裏と表とで反対の配色となって表される織り方。
チュプック(cepuk)
バリ島でつくられる特定の緯絣(イカット)。
魔除けの意味合いを持ち、着用者を守護するなど呪術的な力を持つ織物として、儀式の際に用いられてきた。
チョク(chok)
タイでの縫取織りの呼称。
チン族(Chin)
ミャンマー(ビルマ)の西部に位置するチン州・ザカイン管区・ラカイン州北部、インドのアッサム州に住む少数民族で、チン族はミャンマーでの呼称で、インドではクキ族と呼ばれる。
52の種族に分かれており、民俗学的にナガ族との近似性もあるといわれている。
チン族の女性の間には約1000年もの昔から顔に刺青を施す風習や、20世紀初頭まで首狩りの風習があった。
チン州は近年まで長くオフリミット(外国人の立ち入り制限地域)とされてきたが、徐々に規制も緩和されつつある。
綴織り
地も組織も平織りで、緯糸は布幅一杯には通らずに独立して模様が作り出される織物。
タイやラオスのタイルー族においてよく使われる手の込んだ技法の一つ。
ティモール島(Timor)
インドネシアの東端に浮かぶ島。
現在は独立国の東ティモールと、インドネシアの西ティモールに分かれている。
トゥガナン村(Tenganan)
バリ古来からの宗教・生活観・風習に則って生活をしているバリ・アガの村。
グリンシンやアタ製品の名産地でもある。
トゥヌン(tenun)
インドネシアでの織物の総称。
トラジャ族(Toraja)
スラウェシ島の中央部タナトラジャ地域に暮らす人々。
スラウェシ島中央部は1000m前後の険しい山々に囲まれた高地である為に、長年他の文化に染まることなく独自の習慣が保たれてきた。
トンコナンハウスと呼ばれる家屋や、壮大な葬儀と珍しいお墓の在り方など、様々な独特の習慣が息づいている。
ドンソン文化(Dong son)
紀元前5~4世紀にベトナム~中国南部で発展したと伝えられる青銅器文化。
近隣諸国に影響を与えたのみならず、遠くインドネシアのアロール島においてもドンソン文化による青銅製の銅鼓が数多く見られる。
こうした銅鼓にあしらわれていた文様が様々な地域の織物にも織り込まれており、多大な影響が垣間見られる。
ナガ族(Naga)
インド北東部ナガランド州に約350万人、ミャンマー(ビルマ)北西部ザガイン管区やチン州に約10万人が定住するモンゴロイド系の山岳民族。
現在、キリスト教徒が大多数となっている一方、一部では古くからのアニミズムにのっとった生活を続けている地域もある。
インド側のナガランド州では1950年代から独立闘争が始まり、現在も時折衝突が起こっている。
「最後の首刈り族」といわれるように、20世紀初頭まで首刈りの風習が残っていたが、現代では行われていない。
ナーガ(Naga)
水の神である蛇(龍)。
魔除けや多産のお守りでもあり、ラオスやタイなどの織物の文様にしばしば登場する。
メコン川流域ではナークとも呼ばれる。
ニアス島(Nias)
インドネシアのスマトラ島沖に浮かぶ島。
伝統文化や風習が残る島で、特徴ある彫像などもつくられてきた。
2004年、2005年と地震の大被害を受けた。
南部海岸はサーフィンのメッカとして知られる。
縫取り織り
浮織りの一種で、文様部分を絵緯(えぬき)を用いて刺繍のように浮織りする織物。
ヌサトゥンガラ
ロンボク島とスンバワ島からなる西ヌサトゥンガラ州と、コモド島からティモール島へと連なる東ヌサトゥンガラ州からなるインドネシアの諸島。
それぞれの島に、様々な民族が暮らし、多様な染織文化が色濃く残る地域でもある。
パー(pha)
タイやラオスでの布の呼称。
パーシン(腰巻)、パービアン(肩掛け)、パーチェッ(手巾)、パーレェープ(簡易寝具)、パーロップ(敷布)、パーホム(ブランケット兼敷布)など、様々に分別できる。
バティック(batik)
インドネシアでつくられるろうけつ染めの呼称。
多くがジャワ島でつくられる。
パトラ(patola)
インドのグジャラート州パタンで織られる絹の経緯絣。
元はグジャラート州各地で織られていたが、現在では1~2軒が残るのみ。
17世紀頃からオランダ東インド会社の輸出品として東南アジアに大量にもたらされ、王族・貴族のステイタスシンボルとされた。
その華麗な花模様は近世のインドネシアの染織に大きな影響を与えている。
ハニ族(Ha Nhi)
アカ族の中国での呼称。
詳細はアカ族を参照下さい。
パヒクン(pahikung)
インドネシアのスンバ島でつくられる存在感のある経糸紋織りの織物。
女性のサロン(腰巻)を飾る装飾、肩掛け、頭飾りなどとして使用される。
バリ島(Bali)
ジャワ島とロンボク島の間に位置するインドネシアの島。
ムスリムの多いインドネシアにおいて、例外的にバリ・ヒンドゥーが奉じられている。
「神々の住む島」と呼ばれ、様々な芸術文化が花開き、観光地として人気が高い。
杼
経糸の間に緯糸を通すための舟形や棒状などの用具。
シャトル。
ヒンギー(hinggi)
男性の腰巻兼肩掛け用の大判の織物。
現在では祭儀の際の正装として着用され、今日でも婚礼の際の結納品、葬儀の際の死者への弔い品としての重要度が高く、その枚数の多さがステイタスシンボルとなっている。
フトゥス(futus)
インドネシアのティモール島西部での絣(イカット)の呼称。ティモール島東部ではタイス(tais)と呼ばれる。
プランギ(plangi/pelangi)
インドネシアでの絞り染めの一種である巻き締め絞りの呼称。縫い締め絞りはトリティック(tritik)と呼ばれる。
プラダ(perada)
泥金で模様を施した布のインドネシアでの呼称で、人、神や寺院の権威を表わす布。
馴染みのある所では、バリ舞踊の際に踊り手が身に着けているのを見ることができる。
プリミティブアート(primitive art)
原始美術。
フローレス島(Flores)
インドネシアの東ヌサトゥンガラ州の島。
緑濃く自然豊かな島で、村々によって特徴のある織物がつくられている。
ボルネオ島(Borneo)
世界で3位の面積を持つ東南アジアの島で、インドネシアではカリマンタンと呼称される。
インドネシア・マレーシア・ブルネイの領土に分かれており、豊かな熱帯雨林と天然資源の宝庫である。
ポレン(poleng)
インドネシア・バリ島の黒と白の市松模様の布の呼称。
バリ・ヒンドゥーでは黒と白は善と悪、昼と夜など相反するものを表しており、その対極のどちらもが世界になくてはならないとして尊重されている。
魔除けや浄化の意味合いを持つ‘聖なる布’ともいえる織物。
マムリ(mamuli)
インドネシアのスンバ島の女性に伝わる装身具で、女性の子宮を模った女性を表すシンボル。
マムリには儀式を経て祖先(マラプ)の魂が宿り、超自然的な力をともなうとも考えられている。
大きさや素材は様々だが、スンバ島では結婚時に男性から女性へマムリを型取ったペンダントをプレゼントする慣わしがある。
島のイカットの文様としても登場する。
マラプ信仰(marapu)
スンバ島独特の伝統宗教で、アニミズムにのっとった祖霊信仰。
人は死後マラプとなり、子孫に限りない力を与えてくれるとされている。
スンバ島では30%の人々が信奉しているが、島民の大多数であるキリスト教徒の生活の中にもマラプ信仰が脈々と受け継がれている。
島のイカットの文様としても人気がある。
マランガ(marangga)
インドネシアのスンバ島の女性に伝わる装身具で、マムリ同様に女性を表すシンボル。
周辺のフローレス島やティモール島でも同型の装身具が見られる。
ミャオ族(Miao)
中国でのモン族の呼称。
詳細はモン族を参照下さい。
ミャンマー(Myanmar)
東南アジアの共和制国家。
1989年まではビルマと呼ばれていた。
長く軍事政権が敷かれていたため近年まで鎖国に近い状態であったが、現在は急速に民主化が進んでいた。
しかし、2021年の再度の軍事クーデターにより混沌とした国内状況となり、少数民族の居住州では度重なる爆撃や闘争が起こっている。
ミェン族(Mien)
ヤオ族の自称。
詳細はヤオ族を参照下さい。
綿/木綿(cotton)
ワタの種子から採れる繊維で、弾力性に富み、柔らかく肌触りが良い。
保湿・吸湿性に富み、静電気がほとんど起こらない。
モン族(Hmong)
中国・タイ・ラオス・ベトナムに暮らす山岳民族。
中国ではミャオ族と呼称される。
中国南部を源流とし、弾圧などにより南下する過程で文字を持たない民族となったが、口頭・刺繍・アップリケなどによって歴史・伝統を伝承してきた。
ベトナム戦争では翻弄された側面を持ち、タイ・アメリカなどに難民として移住を余儀なくされた人々も多い。
尚、タイのランプーンにハリプンチャイ王国を建てたモン族(Mon)とは別である。
ヤオ族(Yao)
中国南部を源流とし中国・タイ・ラオス・ベトナムに暮らす山岳民族で、中国では瑶族、タイ・ラオスではヤオ族、ベトナムではザオ族と呼ばれる。
ルイクワンと呼ばれる赤い襟飾りの付いた民族衣装が特徴的で、刺繍・刺し子に長けた民族として知られ且つては100種程のモチーフが存在していた。
伝承(文献)に漢字を使用してきた。
自称はミェン族。
ライジュア島(Raijua)
サブ島の西に位置する小島。
優雅なイカットがつくられていたが、近年は収集が困難となってきている。
ラオス(Laos)
東南アジアの共和制国家。
社会主義化を目指して長く鎖国状態が続いていたため、古くからの伝統文化が色濃く残っており、近年は多くの観光客が訪れるようになった。
ラーンナー/ランナー(Lan na)
タイ北部の8県などを指す呼称。
13世紀には王朝が生まれ、ラーンナー文化と呼ばれる文化が花開いた。
レティ島(Leti)
インドネシアのティモール島の東に浮かぶ小島。
特徴的な彫像が生み出されてきた。
霊船布
インドネシアのスマトラ島ランプン州のパミンギル族に伝わるアニミズムの霊船思想に基づく織物。
カパルハヤット(霊船文様)が織り込まれることが多いため霊船布と呼ばれる。
魔除けの意味合いを持ち、祭儀の際に用いられることが多く、大きさによって呼称や用途が異なる。
ロティ島(Rote/Roti)
インドネシアのティモール島の南西に浮かぶ島。
以前は優れた織物がつくられていたが、昨今では女性達がティモール島に移住したことにより、伝統織物をつくる人は少なくなっている。
用語集INDEX
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